文献詳細
研究と報告
抗てんかん薬服用者の臨床検査所見—γ-GTP,アルカリフォスファターゼ,血清Ca値を中心として
著者: 竹下久由1 山根巨州2 古賀五之3 岡崎哲也4 川原隆造1 田村辰祥1 挾間秀文1
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2島根県立中央病院精神神経科 3西川病院 4島根県立湖陵病院
ページ範囲:P.999 - P.1009
文献概要
てんかんの治療は薬物療法が主体で長期間にわたる規則的な服薬が原則とされ,しかも日常診療上2種類以上の抗てんかん薬の併用を余儀なくされることが多い。したがって抗てんかん薬の使用にあたっては,生体にとって好ましくない副作用の発現に十分な注意が払われなければならない。
これまで抗てんかん薬による副作用として一過性の中毒症状のほかに,肝機能障害,造血器官障害,骨病変,免疫機能抑制,催奇形成などが知られており25),血液検査でも前記副作用と関連して血清アルカリフォスファターゼの活性上昇15,34),血清カルシウムの低下11,14),血清無機リンの低下13,24),γ-GTP(γ-glutamyl transpeptidase)の活性上昇1,28,30),葉酸の欠乏21),免疫グロブリンA(IgA)の低下35)などが報告されている。しかし現在までのところ,これらの検査項目の異常値出現に関与する成因については十分に明らかにされておらず,また検査項目相互の関連性などについても不明な点が多い。著者らは抗てんかん薬の投与を受けている外来通院患者に種々の尿・血液検査を施行し血清γ-GTPの活性上昇,血清カルシウム値の低下,血清アルカリフォスファターゼの活性上昇などを認めたので,これらの異常値出現に関与すると思われる状況要因や,検査項目間相互の関連性などにつき検討し若干の考察を加えて報告する。
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