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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻1号

1979年01月発行

研究と報告

慢性アルコール中毒症における血清Creatine Phosphokinase(CPK)

著者: 斎藤利和1 大鹿英世1 荻野秀二2

所属機関: 1札幌医科大学薬理学教室 2北仁会石橋病院

ページ範囲:P.37 - P.42

文献概要

I.はじめに
 Creatine Phosphokinase(以下CPKと略)は,1934年Lohmann11)によって見い出された酵素であるが,1959年江橋ら3)によって,Progressive muscular dystrophyにおいて血清CPK活性の異常上昇(以下CPK異常と略)が報告され,以来臨床諸領域にて注目されるに至った。慢性アルコール中毒時におけるCPK異常の出現は,Nygren20)(1966),Perkoff22)(1966)らによってアルコール性筋障害の最も鋭敏な生化学的指標として紹介され,以来,同様の観点からの幾つかの報告6,10,21,23,24)がなされている。
 一方,Bengzon1)(1966),Meltzer12)(1968)らにより精神病急性期においてもCPK異常の認められることが報告され,従来想定されていた筋肉内の変化の他にCPK上昇を来す何らかの他の因子の関与が考えられるようになった。
 慢性アルコール中毒においては,さらにEshchar4)(1967),Lafair10)(1968)および筆者25)(1974)らが振戦せん妄例におけるCPK異常出現率を報告している。これらはさきにMygrenやPerkoffらによって示された異常出現率に比べ明らかにより高率であることが注目される。しかも,CPK異常を認めた症例すべてに筋障害の臨床症状が認められるわけではないことは,Perkoffらをはじめ,多くの報告に示されている。これらのことはアルコール中毒におけるCPK異常が,従来いわれてきたように単に筋障害によるのではなく,精神病の急性期にみられる12)のと同様にアルコール離脱期に現われる幻覚・せん妄などの精神症状群とも密接な関係を持っていることを示唆しているように思われる。今回われわれは,このような観点に立って,アルコール離脱期におけるCPK活性を経時的に測定し,CPK活性の推移とアルコール離脱症候群との関係を検索したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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