文献詳細
研究と報告
語義失語(井村)に類縁な失語症状を呈した初老期痴呆の1症例
著者: 地引逸亀1 倉知正佳1 遠藤正臣1 山口成良1
所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.43 - P.52
文献概要
本症例は初老期痴呆(Pick病)と思われる1例であるが,上記の臨床像を有することから語義失語の類型とみなされた。ただし過去の報告例と比べて言語表出面で多弁さや文意障害がみられないこと,また漢字の書取りや音読の際に錯書や錯読がほとんどみられぬ点が特異的である(いわゆる語義失語に独特な漢字の類音的な錯書や音訓の混同から成る錯読はみられない)。進行性脳萎縮による語義失語およびそれに類縁な症例の詳しい報告は過去にみられないことからここに報告し,症状全般について過去の報告例と比較検討するとともにその相違点について若干の考察を行なった。
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