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研究と報告
小児の難治性てんかんに対するl型GABOB(新光学活性体)療法
著者: 石川丹1 遠藤晴久1 福山幸夫1
所属機関: 1東京女子医科大学小児科学教室
ページ範囲:P.1099 - P.1104
文献購入ページに移動γ-amino-β-hydroxybutyric acid(以下l-GABOB)の中枢抑制作用は,Hayashi(1959)1)のイヌを用いた種々のけいれん抑制実験によって明らかにされ,従来Gamibetal Aminoxinの名称で抗けいれん剤として使用されてきた。しかし,これら薬剤はすべてGABOBのラセミ体であるdl体であり,その効果は必ずしも芳しくないとされてきた。発見当時からdl体と光学活性体であるl体との抑制作用が比較され,l体のほうがdl体より強力であるとされてきたのであるし,またl体のほうがより生理的であるのだから,このdl体の限界は拒めないものである。
最近,片山2)は14C標識化光学活性GABOBをマウスに投与し,その生体内代謝と中枢抑制作用について報告し,脳への取り込みはdl体よりl体のほうが優れていること,しかも,ネコ大脳皮質ペニシリン焦点の棘波放電抑制力はdl体よりl体のほうが強いと結論し,再びl-GABOBが注目されるようになった。
われわれは,小児の難治性てんかん例にl-GABOBを投与し,その抗けいれん剤としての有用性について臨床的に検討したので,ここにその結果を報告する。
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