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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻10号

1979年10月発行

文献概要

資料

英国精神病院におけるdepot neurolepticsの実際—Birmingham地区を例として

著者: 北村俊則1

所属機関: 1バーミンガム大学精神科

ページ範囲:P.1143 - P.1146

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 すでにdepot抗精神病薬が開発されてから,かなりの時間がたち多くの基礎および臨床実験がなされてはいるが,諸外国においてdepot剤がいかに実際の臨床で用いられているかについては,この種の報告を客観的に行なうことの困難なことも手伝って,あまり数多くはなされていない。しかし報告の対象とする地域が,たとえば英国全土のように広くなってくると統計値ばかりの羅列に終り,臨床的実像を把握するのが容易でなくなることも一面の事実である。そこでこの小論では,著者が約3年間勤務しているBirmingham地区の一単科精神病院を例にとって,印象記風にその側面を報告したいと思う。
 All Saints病院はBirmingham市の北西部を受け持ち地区catchment areaとし,その人口およそ60万人,病院のデータによると今年1月の入院者103名中分裂病18名(再発を含む),病床数は719(急性病床194,慢性病床525)であるからおよその規模は理解していただけると思う。この病院のday unitの一部としてModecate Clinic(以下M. C. と略。Modecateはfluphenazine decanoateの英国における商品名)が1968年に設立され,現在およそ800名の患者が登録投薬されている。登録患者数からはこのM. C. は世界的にも大規模なdepot専門外来ということができる。図式的な表現になるが,入院による経口薬投与により一応の寛解ないし軽快をみた分裂病患者は入院中から経口薬よりdepot剤への切り替えが行なわれたのち退院,あるいはday hospitalへ転棟され,その後はM. C. に登録され以後定期的にdepot剤の投与を受けることになる。通常外来部門での主治医による診察は患者の症状その他により期間が異なるが(長い場合は6カ月に1回程度),M. C. は規則的筋注の責任をもち,筋注および抗パ剤投与がM. C. で行なわれ,他の薬剤は病院外来または担当一般開業医(G. P.)により行なわれる。患者の入院,転棟,退院,depot剤の開始,減量,中止などの際には,病棟,外来,M. C.,G. P. 間で手紙(ないし電話)にて連絡がとられている。ごくまれではあるが,精神科にくわしいG. P. により定期的depot投与が行なわれる場合もある(現在14例)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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