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研究と報告
言語発達遅滞の2例—言語発生に関する考察
著者: 野上憲彦1
所属機関: 1国立肥前療養所
ページ範囲:P.1317 - P.1327
文献購入ページに移動I.はじめに
最近,小児の言語発達遅滞が注目されており,発達性失語,発達性語聾,先天性構音不全あるいはdysphasic child等の名称で呼ばれている1,4,5,11,17,23)。多くの名称が示すように必ずしも統一されていないし,またautismとの関連について言及する意見もあり,その状態像はかなり幅の広いものである。しかし,そうした障害の中心的問題は言語の障害にあることは確かなように思える。したがって言語発達遅滞の分析を通じて,言語の発生に関して何らかの知見を得ることが期待できる。
われわれは最近2例の言語発達遅滞児の治療を経験した。1例は運動性表出性の発達性失語であり,もう1例は受容性の発達性失語であり,Rutterら1)の述べたdysphasic childにあたる例であった。
この2例の治療を通じて言語の発生に関する若干の知見を得たので報告し,かつ言語学的な考察を加えてみたい。
最近,小児の言語発達遅滞が注目されており,発達性失語,発達性語聾,先天性構音不全あるいはdysphasic child等の名称で呼ばれている1,4,5,11,17,23)。多くの名称が示すように必ずしも統一されていないし,またautismとの関連について言及する意見もあり,その状態像はかなり幅の広いものである。しかし,そうした障害の中心的問題は言語の障害にあることは確かなように思える。したがって言語発達遅滞の分析を通じて,言語の発生に関して何らかの知見を得ることが期待できる。
われわれは最近2例の言語発達遅滞児の治療を経験した。1例は運動性表出性の発達性失語であり,もう1例は受容性の発達性失語であり,Rutterら1)の述べたdysphasic childにあたる例であった。
この2例の治療を通じて言語の発生に関する若干の知見を得たので報告し,かつ言語学的な考察を加えてみたい。
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