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研究と報告
特異な精神症状を呈した46,XY/47,XYY/48,XXYY Klinefelter症候群の1症例
著者: 川原隆造1 挾間秀文1 田中雄三1 松島嘉彦2
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科教室 2島根県精神衛生センター
ページ範囲:P.1363 - P.1369
文献購入ページに移動Klinefelter症候群は1942年Klinefelterら13)が,男子思春期に始まり女性型乳房,睾丸発育異常を主症状とし,FSHの分泌異常を特徴とする一群の性腺不全症のあることを報告したのに始まる。その後sex chromatinの検索が行なわれるようになり,sex chromatin陰性の後天的な精細管障害例を除外した性染色体異常に基づく男子性腺障害例を,真性のKlinefelter症候群と呼ぶようになった。Jacobsら8)は本症候群について性染色体の検索を行ない,その組合せがXXY型であることを証明した。さらにこのような基本型のほかに,XXXY,XXXXY,XXYY,XXXYY,XXなどのKaryotypeをもつ症例,あるいはmosaic例も少数ながらあることが知られるようになった。しかしKaryotypeと臨床像との関係については,まだ十分知られていない。
われわれの経験した症例は,精神薄弱施設のスクリーニングテストによって発見された。詳細な染色体分析の結果,これまでに報告の少ない46,XY/47,XYY/48,XXYY mosaic例であることが分った。本症例の特異な精神症状に注目し,内分泌学的異常および性染色体異常について検討したので報告する。
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