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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻2号

1979年02月発行

文献概要

特集 妄想

分裂病型妄想の理論的問題点

著者: 安永浩1

所属機関: 1東京大学分院神経精神科

ページ範囲:P.127 - P.137

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Ⅰ.全体の前おき
 「妄想」という言葉は実際上大へん幅ひろく用いられる。「常識に反する」思考は皆妄想,と呼ばれかねないし,話を分裂病領域に限ってさえも,多少とも逸脱した言動の大群,また,自我障害や幻覚の忠実な体験報告に過ぎないものも,皆妄想,と呼ばれてしまうことが多いのである。
 これらをいっぺんに論ずることはとてもできないので,本稿ではまず,いわゆる真正妄想echte Wahnideen(Jaspers, K.)1)の型の現象にしぼって考察を行なうことにする。いうまでもなく,これは妄想知覚,妄想着想,妄想気分等の諸形態を含むが,いずれにせよそれ以上の心理的遡及が「不可能」な,疾患過程からの「原発的」なものとみなされた症状で,病的形態としては最も純粋(むしろ単純)と考えられるものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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