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研究と報告
アミトリプチリン—ノルトリプチリン血中濃度と抗うつ効果
著者: 渡辺昌祐1 横山茂生1 久保信介1 岩井闊之1 久山千衣1 浅野裕2 山下格2
所属機関: 1川崎医科大学精神医学教室 2北海道大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.243 - P.250
文献購入ページに移動筆者らが行なったうつ病患者を対象としたmaprotiline(MAP)とamitriptyline(ATP)の多施設二重盲検比較試験20)において,薬剤服用3週後に患者の了解のもとに対象患者の採血を行ない,薬剤の血中濃度と治療効果や副作用出現頻度の関係を調べ,MAPについては血中濃度と治療効果は相関傾向が認められたことをすでに報告した21)。
本論文では同一研究において得られたATP服用患者の血液試料18検体のATPとnortriptyline(NTP)の濃度を測定しATP服用量,臨床効果との関係を検討,考察する。
三環系抗うつ剤の血中濃度と治療効果の相関を検討した研究報告は,1962年Hyaduら12)のimipramine研究に始まり,次第に増加している。本邦では谷向19),浅野ら1,2)の報告が発表されているのみであり,今日なお幾多のデータ集積の必要な時期であるといえる。
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