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研究と報告
慢性腎機能障害を伴う“Permanent encephalopathy”を疑わせた職業性シンナー中毒症の1例
著者: 寺岡葵1 村山英一2 堀田直子2 津嘉山毅2 服部英世2
所属機関: 1熊本家庭裁判所 2国立熊本病院神経科
ページ範囲:P.291 - P.295
文献購入ページに移動近年,諸種の産業で取り扱われる有機溶剤の種類ならびに使用量は急激に増加し,有機溶剤による健康障害は職業病として関心を集めている。われわれは,塗装工として6年間稼働し,仕事中に意識喪失発作,そのあと分裂病様状態を呈し,脳室の拡大,腎機能障害を認めた慢性職業性有機溶剤中毒によるpermanent encephalopathyと思われる1例を経験した。
最近,これら有機溶剤を故意に濃厚に吸入するいわゆるシンナー・ボンド遊び,あるいは慢性の暴露を受ける職業性によるpolyneuropathy,myeloneuropathyなどに関して諸家の報告1,2,7,10,15,19)をみるが,中枢神経系の慢性障害について,はっきりと指摘したものは数少ない5,8,17)。本稿では,この特異な症例を呈示し,合わせて5年間にわたる症状の変遷についても触れてみたい。
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