文献詳細
古典紹介
A. Pick:Störung der Orientierung am eigenen Körper—Beitrag zur Lehre vom Bewußtsein des eigenen Körpers〔Psychol. Forsch., 46 ; 303-318, 1922〕
著者: 波多野和夫1 浜中淑彦2
所属機関: 1大阪赤十字病院精神神経科 2京都大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.311 - P.323
文献概要
1920年の夏休みに,元店員Franz Z. 67歳が入院した。次のような病歴がある。患者は8年前から腸カタル,鼻出血など病みがちである。1年半前から脚の脱力のために床についていた。特に右脚が弱い。入院の14日ほど前のある午後,寒気がすると訴え「体がふるえた」とのことで,顔が蒼白になり,あとでは紫色になった。意識消失はなかった(?)が,尿失禁があり,それ以後はもはや右手を動かすことができなくなった。顔面もゆがんだが,これは次の日にはもうよくなった。最近2年間にだんだんひどくなってきた高度の記憶障害がある。感染疾患はない。1人の死産児がいる。
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