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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻4号

1979年04月発行

研究と報告

双生児の一方にみられた入浴てんかん症例—特に出産時障害との関連について

著者: 伊藤陽1 栗田勇2 今野公和2

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新潟大学脳研究所脳神経外科学教室

ページ範囲:P.387 - P.394

文献概要

I.はじめに
 入浴が直接の誘因となって,てんかん発作が引き起こされる現象は,入浴てんかん(hot water epilepsy)などの名称で今までに世界で約80例の報告がみられる。入浴てんかんでは温覚刺激と触覚刺激が発作誘発に重要な役割を果たしており4)体性感覚刺激によって発作が誘発される体性感覚てんかん(somatosensory epilepsy)の範疇に属する反射てんかん(refiex epilepsy)であると考えられる11)。体性感覚以外の知覚刺激によって引き起こされる反射てんかんには,読書てんかん(reading epilepsy),言語性てんかん(language-induced epilepsy),聴原性てんかん(audiogenicepilepsy)などが知られており,さらに特殊な型として触覚性驚愕てんかん(startle epilepsy inducedby tactile)があるが,いずれも反射てんかんとして類似のメカニズムによって起こってくることが推定される3)
 本邦における入浴てんかんは大沼ら9,10)による3症例がある。今回われわれは双生児の一方に入浴てんかんのみられた症例を経験したのでその臨床病像を報告する。またこの症例自体は出産時障害の既往は明らかでなかったが,発作を有しないもう一方の児には出産時障害によると思われる右上肢の麻痺と脳波異常を認めたので,出産時障害と入浴てんかんとの関連について若干の考察を行ない,さらにわれわれの症例と従来の報告例とを比較しながら入浴てんかんの病態について検討を加えたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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