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研究と報告
脳脚幻覚症が疑われた1症例
著者: 竹下久由1 挾間秀文1 川原隆造1 深田忠次2
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2鳥取大学医学部脳幹性疾患研究施設脳神経内科
ページ範囲:P.407 - P.414
文献購入ページに移動脳脚幻覚症hallucinose Pedonculaireは,J. Lhermitte16)(1922年)によりはじめて報告され,ついでVan Bogaert(1927年)により組織病理学的検討が加えられた1)。本幻覚症は脳脚部の病変に対応する身体的所見と,夕暮から夜間にかけて出現する幻視を主徴とする幻覚症状,睡眠リズムの障害などを特徴とした比較的稀な幻覚症である。わが国でも脳脚20),脳橋13),赤核黒質18),橋被蓋部11)などに病変をもった類似の症例が報告されており,また本幻覚症と密接な関連をもつ間脳症候群における幻覚やナルコレプシーの幻覚などについても本多12),臺ら26)の詳細な報告がある。
著者らは脳脚幻覚症と思われる1症例に,終夜睡眠ポリグラフィを行なう機会を得たので本例を紹介し,幻覚症状の出現と睡眠機構との関連などにつき若干の考察を加えて報告する。
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