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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻4号

1979年04月発行

文献概要

紹介

Schou, M. and Weinstein, M. R. 著 妊娠,出産,授乳期間中のリチウム維持療法の問題点

著者: 江原嵩1 渡辺昌祐2

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2川崎医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.437 - P.440

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 妊娠中の薬物療法は母親と胎児の2人について考慮せねばならないが,両者の利益は必ずしも一致せず,一方に重きを置いて考えると他方には危険が及ぶというむずかしいところがある。維持療法を目的として投与されている薬剤については特に重要であり,胎児は持続的に薬剤にさらされているが母親は健康と生活を続けるために必須である場合が多い。
 予防的リチウム療法が妊娠可能な年齢の女性に施行されることが多いが,この場合に催奇形性が問題となってくる。動物実験の結果を,人に適用することは安全ではない。それゆえ,われわれは1968年にいわゆる「Li-baby集計」を発足させた。これは当初はスカンジナビア地方の人々のみを対象としていたが,後に世界的規模のものとなった(Schou 1969:Schou, et al 1973a:Weinstein and Goldfield 1976)。「Li-baby」とは,少なくとも妊娠の初めの3カ月間にリチウムの投与を受けていた母親から生まれた子供のことであり,この3カ月間というのは胎児の形態発生が起こる期間である。多くの国々の医学雑誌や専門家会合で注意を喚起して,奇形があっても正常児であってもLi-babyの報告を要請した。表1は集計の現在の状態である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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