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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻6号

1979年06月発行

文献概要

研究と報告

一卵性双生児の一方に現われたAnorexia Nervosaの1例

著者: 山岡正規1 日下部康明1 柄沢弘幸1

所属機関: 1群馬大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.659 - P.665

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I.はじめに
 1874年Gull, W. W. によって命名されたanorexia nervosa(an. n.)は,20世紀前半ドイツを中心に下垂体障害説が主張されたが,その後再び心因説が有力になり,本邦でも梶山7),石川ら6),下坂10)をはじめ多くの心理学的,精神病理学的研究が発表されてきている。しかし,原因論をめぐって,その本態は必ずしも明確ではなく,たとえば心身相関の症候群であるとしても,その裏付けは決して容易ではない。それは内因性精神病から神経症に至るまで,個体と環境の二大条件が病因論として常に問題にされてきたように,その実証の困難性が一つの背景にある。このような中で,方法論的拠りどころの一つが双生児研究であろうが,双生児に発症したan. n. の報告は,一致例,不一致例を合わせても数少ない。今回われわれは一卵性双生児の一方にのみ発症したan. n. の1例を経験したので報告し,特にその発症について心理的側面から考察する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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