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文献詳細

雑誌文献

精神医学21巻7号

1979年07月発行

文献概要

特集 精神分裂病の遺伝因と環境因

精神分裂病と染色体異常

著者: 浅香昭雄1

所属機関: 1東京大学医学部脳研究施設

ページ範囲:P.705 - P.712

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I.はじめに
 精神分裂病が病因的に異種の疾患の集合であることは,異論のないところである。精神分裂病の診断屑籠に投げこまれていた精神病症状群から,その群に特徴的な症状を示す染色体異常群―その他の精神分裂病群とは似て非なる一群―を拾い上げ,染色体異常の病因的意義を明らかにすることが,近年発展した細胞遺伝学の仕事のひとつであった。染色体異常のうち,性染色体異常が精神障害と密接な関連をもっているが,その数的異常であるKlinefelter症候群,XYY男子,Triplo-X女子,Turner症候群について,以下にいままでの諸報告を概観し,若干の新知見を加えて考察してみたい。
 Klinefelter症候群は1942年に報告され,女性型乳房,無精子症,睾丸の小さいこと,尿中FSHが高いこと,睾丸組織の精細管の硝子様変性とLeydig細胞の膠様増殖などを特徴とする男子の性腺発育障害である。Turner症候群は1938年に報告され,身長が低いこと,無月経で2次性徴の発現がみられないこと,卵巣は発育不全で索状になっていること,その他翼状頸,外反肘などを示す女子の性腺発育障害である。Klinefelter症候群の染色体構成の基本型は47, XXY, Turner症候群のそれは45, Xであり,いずれも1959年に染色体異常が確定されている。XYY男子,Triplo-X女子は偶然の機会から発見されたものであり,特異的な身体所見をもたない。XYY男子の染色体構成の基本型は47, XYY, Triplo-X女子のそれは47, XXXであり,前者は1961年,後者は1959年に染色体異常が確定されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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