文献詳細
特集 老人の精神障害—東京都精神医学総合研究所,第6回シンポジウムから
中枢神経系の老化とその超微形態—とくに原線維変化と老人斑について
著者: 小柳新策1
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所超微形態研究室
ページ範囲:P.834 - P.846
文献概要
われわれにとって,老化はさけ難い現象であり,とくに中枢神経系(CNS)はそれを構成する神経細胞が再生能を失った細胞群,つまり固定性分裂終了細胞群(fixed postmitotics)に属するため,個体の老化においては特異の立場にある。すなわち神経細胞の寿命が個体の寿命であるという考え方がある一方,老年痴呆やアルツハイマー病のように痴呆を主症状とする疾患としての老化現象があることは重要である。
本論文ではCNSの老化構造につきまず一般的なことを述べ,次いでこれらの老化構造のうち,老年痴呆やアルツハイマー病に特徴的にみられるアルツハイマーの神経原線維変化と老人斑についてその超微形態を述べる。著者自身の剖検例での経験をもとにして,歴史の比較的新しい電子顕微鏡がこれら病変の実体解明に寄与した点に重点をおきながら,同時に著者が1974年にやや詳しく行なった総説26,27,28)に若干の補足をすることにする。なおこれ以外の構造についてはその総説や著者の最近の論文30,31)を参照していただければ幸いである。
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