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研究と報告
瓜二つ妄想についての一考察—思春期発症の2症例を通して
著者: 高橋俊彦1 本城秀次2
所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室 2国立療養所榊原病院
ページ範囲:P.945 - P.952
文献購入ページに移動病者の身近にいる人物が瓜二つであるがまったく別の人物と入れ替っている,と訴える症例については1923年Capgrasら1)が,illusion des sosiesとして報告して以後,フランス語圏を中心に症例の報告がなされてきたが,最近日本でも報告がいくつかみられるようになった2〜10)。そして諸家は,その症状の特異さの故にカプグラ症候群(syndrome de Capgras)として特別の単位の如く扱ったり,あるいは精神病の一症状としてのウエイトしか置かなかったりして,一定しない。
ところで「瓜二つ妄想」の発現はある程度年齢が高くなってからといわれている。従来の報告によれば多くは30歳以上であり,10歳台のものはわれわれの知る限りわずかにTodd11)の報告した17歳の少女とMoskowitz, J. A. 12)の12歳の症例ぐらいである。
今回われわれは13歳と15歳に「瓜二つ妄想」を発した男女2症例を経験したので,その若年齢であることに注目して報告し,若干の精神病理学的考察を試みたい。
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