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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻1号

1980年01月発行

文献概要

特集 幻覚

脳器質性疾患と幻覚

著者: 保崎秀夫1

所属機関: 1慶応大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.27 - P.34

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I.はじめに
 器質脳疾患における幻覚29)については今までは脳局在病変と幻覚,意識障害と幻覚という関係で論じられてきており,この面では,幻覚(とくに幻聴に)に対する論議は色あせたものになろうとすでに筆者が述べたことであるが,ただ器質脳疾患における幻覚といってよいかどうかわからぬが進行麻痺患者における幻覚妄想様病型変化は注目に値するものと思う。そこで筆者が入局後間もなく経験した進行麻痺患者の幻覚妄想様病型変化の症例を通して幻聴,偽(仮性)幻聴を中心にまず考察してみることにする。現在は進行麻痺患者は数少なく,したがって幻覚妄想様病型変化もほとんどみられなくなっているが,第二次大戦後には相当数みられた。その際に幻覚が急速に発現する過程がはっきりとみられることがあり,その経過を詳細に観察すると大変面白かった。次にその症例を述べてみる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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