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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻10号

1980年10月発行

特集 日本精神医学と松沢病院

都立松沢病院創立百年を記念して

作業療法からリハビリテーションへ

著者: 加藤伸勝1

所属機関: 1京都府立医大精神科

ページ範囲:P.1051 - P.1059

文献概要

I.はじめに
 精神障害者の治療の歴史の中で,最も古くかつ最も新しい命題の一つに作業療法がある。
 その源流はAsclepiadesにまでさかのぼるといわれている1)。それは精神障害者に最初に施された活動療法であった。今日,われわれが作業療法を語るときのようにそれがより身体療法に近いものか,あるいは精神療法に近いものかを問題とするような捉え方はしないで,当時は素直に身体療法の一つと考えられていた。その当否は別として,有史以来の精神障害者の治療の中で,その奏効機序の曖昧さを理由にして,その効果を過小評価する不毛の論議が今なおあるにしても,精神・身体両面に及ぶ治療としての作業療法が精神障害者の治療体系の中に占める比重は決して少なくはない。遠い過去の精神科治療の歴史を語るのが筆者の役割ではないが,歴史の中にあり,時間の経過に耐えてきた作業療法が,わが国の精神医療史においても,その時代時代による方法論の差はあっても強靱に生き残ってきている事実を,私は松沢病院百周年の歩みからも拾うことができる。ここでは咋日までの作業療法と今日の作業療法とその延長上に発展したリハビリテーションに関し,松沢病院百年の歴史の中にそれを回顧し,明日への展開へと繋げたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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