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雑誌詳細

文献概要

特集 Butyrophenone系抗精神病薬の臨床精神薬理学

Phenothiazine系抗精神病薬の体内動態とProlactin反応

著者: 庄盛敏廉1

所属機関: 1岡山大学医学部脳代謝研究施設病態生化学部門

ページ範囲:P.1167 - P.1169

I.はじめに
 抗精神病薬の代表的なものとして,chlorpromazine(CPZ)をはじめとするphenothiazine(PZ)系薬剤とhaloperidol(HPL)を含むbutyrophenone(BTP)系薬剤とがある。抗精神病薬が精神科臨床に導入されて以来,これら薬物の臨床薬理学としては専ら臨床治験に重きがおかれていた。また,次々に開発されるおびただしい数の抗精神病薬の臨床応用に多くの時間が割かれた。
 それに対し,近年,臨床薬理学の普及とともに,抗精神病薬の臨床的作用をこれら薬物の体内動態の面から考慮・検討する行き方がとられるようになった。これは測定方法の改善により,微量な血中薬物濃度の定量が可能になり,抗精神病薬の吸収,代謝,体内分布,排泄について,推測できるようになったからである。
 PZ系の抗精神病薬血中濃度測定の臨床的意義や問題点については,すでに色々論じられているが,BTP系薬剤に関する研究はその緒についたばかりで,報告は未だ少ない1,2)。我々の研究施設では,高速液体クロマトグラフィーを用いて,血液などの生体試料中に含まれるPZ系抗精神病薬,すなわちCPZとその主代謝産物,levomepromazine(LPZ)とその主代謝産物,thioridazineなどの濃度を測定する方法を開発してきた3,4)
 この報告においては,CPZおよびLPZ濃度を測定することによって得た我々の成績の中から,血中薬物動態,薬物の脳内移行,薬物に対する脳内反応としての血中prolactin(PRL)濃度の変動について略述し,HPLなどBTP系薬剤の臨床薬理学的研究の参考に供したい。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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