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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻11号

1980年11月発行

文献概要

特集 Butyrophenone系抗精神病薬の臨床精神薬理学

神経疾患におけるHaloperidolの効果とその評価—Gilles de la Tourette症候群をとおして

著者: 飯塚礼二1 斉藤幹郎1 関健1

所属機関: 1順天堂大学精神医学教室

ページ範囲:P.1211 - P.1215

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 1958年Haloperidol(以下HPD)が合成されて以来,基礎的,臨床的文献は2000を越えているが5),精神分裂病を中心とする精神疾患のみならずいくつかの神経疾患においてもその使用が試みられ効果をあげている。本論文ではGilles de la Tourette症候群(以下Tourette症候群)をとおしてHPDの効果とその評価方法について検討した。
 1884〜5年Gilles de la Tourette4)は非協調性,突発性の不随意な筋肉運動とそれに伴う「不明瞭な叫び」,加えて汚言症,反響症状の見られる自験6例を含む9症例を発表して,当時の舞踏病の概念から独立した一疾患を分離しようと試みた。Jumping,Latah,Myriachitなどのいわゆるculture bound syndromeとの混同はあったが詳細な症例の記述は今日のTourette症候群の概念とほぼ一致している。ただ反響症状を中心に位置づけている点はShapiroら8)の現在の定義とやや異なっている。また本症候群と小児の一過性のチック等との異同の問題もあるが,今回は定義の問題には深く立ち入らない。Tourette症候群は本邦において比較的稀とおもわれていたが,最近Nomuraら6)の74症例の報告もあり,我々もまた10例以上を経験しておりかなりの潜在的な患者が存在していると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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