文献詳細
文献概要
特集 躁うつ病の生物学
うつ病の動物モデル
著者: 鳩谷龍1
所属機関: 1三重大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.1321 - P.1331
文献購入ページに移動 成熟雌ラットを長期反覆ストレスに曝すとその中にストレスによる直接の疲労から脱しているにもかかわらず,なお長期間持続的に発情周期の喪失を伴う寡動状態を示すものが見られた。このラットは抗うつ剤あるいはESTによりその自発性と発情周期を回復するのでこの状態をうつ病モデルとし,その脳内アミンについて螢光組織化学的検討を行った。その結果,①青斑核をはじめとする上行性NA作動系の細胞体のNA螢光は著明な増加を示し,かつその視床下部神経終末のNA代謝回転は低下していた。②一方視床下部—隆起漏斗DA作動系は細胞体および神経終末ともにDA螢光は減弱していた。③同様の所見はストレス直後のラットにも認められたが,回復ラットでは対照ラットとの間に差を認められなかった。
掲載誌情報