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特集 躁うつ病の生物学
まとめ
著者: 更井啓介1
所属機関: 1広島大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.1332 - P.1332
文献購入ページに移動 現時点での躁うつ病に関する生物学的研究の概要をそれぞれ世界的にもひけを取らぬ専門家から伺ったが,内容が余りにも豊富であったために,ここで簡単にまとめることは困難である。したがって印象を述べることにする。
生物学的研究においては,まず対象が均質でないと一定の所見は得にくい。今日躁うつ病とされるものは概念が広いので単一疾患とは思われない。この点で高橋良氏はWHOの日本の躁うつ病研究センターの責任者として国際的研究に参加しておられるが,その研究の一部に分類の問題があり,現在の分類において両極型躁うつ病は生物学的にまず一疾患単位として扱い得るが,単極型は異種性であろうとされた。とすれば,研究対象としては両極型がモデルとして適切であり,従来もそのように扱われた。ただし,両極型は患者数が少なく,一研究機関で十分量の資料を得ることが困難であり,限られた期間内に研究しようとすると心ならずも異種と思われる単極型をも含めて対象とした研究が多く,そのため矛盾する結果が報告されたと思われる。今後はWHOのSADDのような同一の診断基準に基づいて選ばれた患者について,同一の方法で多施設で共同の研究をすることが望ましい。
生物学的研究においては,まず対象が均質でないと一定の所見は得にくい。今日躁うつ病とされるものは概念が広いので単一疾患とは思われない。この点で高橋良氏はWHOの日本の躁うつ病研究センターの責任者として国際的研究に参加しておられるが,その研究の一部に分類の問題があり,現在の分類において両極型躁うつ病は生物学的にまず一疾患単位として扱い得るが,単極型は異種性であろうとされた。とすれば,研究対象としては両極型がモデルとして適切であり,従来もそのように扱われた。ただし,両極型は患者数が少なく,一研究機関で十分量の資料を得ることが困難であり,限られた期間内に研究しようとすると心ならずも異種と思われる単極型をも含めて対象とした研究が多く,そのため矛盾する結果が報告されたと思われる。今後はWHOのSADDのような同一の診断基準に基づいて選ばれた患者について,同一の方法で多施設で共同の研究をすることが望ましい。
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