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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻2号

1980年02月発行

特集 向精神薬をめぐる最近の諸問題

向精神薬の効果の生理学的背景

著者: 山口成良1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.161 - P.170

文献概要

I.はじめに
 向精神薬がなぜ精神障害に有効かという効果の背景については,2つの検討の仕方があると思う。1つは,向精神薬が中枢神経系のどこに働くかという作用部位の問題があり,1つはその部位の機能の抑制をもたらすのか,興奮をもたらすのかという機能変化の問題である。前者については神経生理学的アプローチでいくつかの証拠があがっているが,後者については神経生理学的アプローチだけでは足りず,神経化学的なアプローチも必要である。
 そして向精神薬の効果の背景を論ずるのに最も隘路となるのは,中枢神経系の機能局在についてまだ充分な解明がなされていないことである。たとえば,意識,記憶,知覚,思考,意志,感情,知能などの精神機能について,その機能局在はまだ研究解明の途上にあり37),まして,精神障害の妄想,幻覚などの諸症状の発現機構,発現部位については仮説の域を出ていない現状である。しかし現在,多数の向精神薬が精神科領域で使用され,妄想,幻覚などの精神症状の改善に効果をおさめているのも事実である。そこで,これまでに得られた実験結果を紹介しながら,向精神薬の効果の生理学的ならびに生化学的背景について若干の考察を試みたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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