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抄録 精神分裂病者の再入院に至る経過を追跡調査することによって,退院の意味,作業療法の内容,および抗精神病薬を含めた服薬状況と再入院の関係について主に考察した。対象患者は1970〜74年に福島県立矢吹病院を退院した分裂病者であり,追跡調査時(1977年12月)には3〜7年経過した者であった。調査しえた者は114名(把握率83%)であり,再入院しないで社会生活を営んでいた者は40名(35%)であった。再入院群には経済的理由や,家族の疾患に対する理解不足による早期希望退院が原因で服薬中断→再入院に至る者が多数を示していたこと,また服薬中断者の90%が再入院していたことより,治療者側の家族指導の重要性を指摘するとともに継続的長期服薬の必要性と抗精神病薬の種類について検討した。作業療法については,その有無および内容により再入院に差があることから,治療的意味について検討した。
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