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運動対象物に対する大脳誘発電位と眼球運動の研究—正常人と慢性分裂病患者の比較—第2報 大脳誘発電位および大脳誘発電位と眼球運動との関係
著者: 武内広盛12
所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2現所属:国立犀潟療養所
ページ範囲:P.287 - P.297
文献購入ページに移動 抄録 陰極線管のスポットを正弦,三角,矩形波でスクリーンの中央部から—波長分だけ水平方向に往復運動させ,その動きを刺激入力に頭皮上8カ所から記録した大脳誘発電位を正常人と慢性分裂病で比較し,更に第1報に述べた眼電位図との関係についても検討した。スポットの追尾のいかんによらず,潜時約100〜300msecに最大振幅を有する電位が,正常人では明瞭に認められ,患者では,不明瞭である。また,スポットの動きの変化が,誘発電位の振幅・潜時および波形のいずれかの違いとして反映される者が正常人では多く,患者では少ない。誘発電位の領野別出現率では,正常人は中心部で最高で,後頭部,側頭部,前頭部へも拡がりを示すが,患者では,中心部に限局する傾向を示した。眼電位図と誘発電位の関係は,前者の円滑な者に後者の明瞭な者が多い。これらの結果を知覚—運帰還機構から検討すると,患者は一義的には,知覚・認知面に障害のあることが推測される。
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