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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

壮年期および初老期に初発する精神分裂病様状態の臨床統計的研究

著者: 臼井宏1 池田八郎1 山口現朗1 長瀬輝誼1 田辺辰二1 後藤多樹子1 佐藤達彦1 有高謙一1 高橋明1 菅野龍彦1 溝口勝美1 渡辺登1 木戸幸聖1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.379 - P.389

 抄録 35〜54歳に初発し,入院した精神分裂病様状態48例について調査したところ,男性よりも女性が若干多く,病前適応の良い例が多かった。半数以上に誘因が認められたが,その内容に一般的特徴はなかった。約90%に妄想がみられ,その内容は初期には現実的,日常的,具体的な傾向があった。
 約80%が寛解または軽快退院したが,約30%は短期間内に再入院した。31例についての2〜4年後の寛解率は約45%,欠陥状態は約35%で,経過から少なくとも約55%は確実な精神分裂病と考えられた。
 病前性格,誘因,経過の関連は必ずしも明確ではないが,能動的行動が不可避な状況で発症する分裂気質群,近所に倫理的うしろめたさを体験して妄想ないし幻覚妄想状態に陥る非社交的で敏感な反面勝気な主婦の群,職場の状況の変化に適応できず,仕事を休んでいるうちに追跡妄想の出現するまじめで小心で融通性のない男性群の3群が注目された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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