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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻4号

1980年04月発行

研究と報告

特異な語唖を示した初老期痴呆の1例—純粋語唖との関連において

著者: 小林宏1 山田堅一1 安立真一1 浅岡まさみ2

所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室 2岐阜精神病院

ページ範囲:P.391 - P.399

文献概要

 抄録 症例は41歳の男性,電気技師。主症状は,語唖,表情表出障害,口唇および頬部の顔面失行,流動物の嚥下障害,流誕,欲動的脱制止。
 39歳,抜歯後義歯装着不良とともに発症。51年11月初診。その後も神経症状は乏しく,精神症状が前景で経過,言語は一音も発しなくなり,書字に誤字脱字が多くなり,形体も拙劣となり文章内容も貧困化していった。後には言語了解もやや障害されていったが,その他の精神症状や痴呆化傾向に比しよく保たれていた。中心症状である発言障害についてその発症および経過が心的契機と関連していたこと,いわゆる純粋語唖と考えられること,パーキンソン症状のほかに意欲発動の低下,欠如と関連すると思われる特異な表情障害,身振り障害があること,更に顔面失行と純粋語唖との関連などを述べた。
 純粋語唖の症例報告はわが国では3例に過ぎず,その中でも本症例は特異なものであり,従来の純粋語唖と失誘との関連の考察にも寄与するものがあると考えられる症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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