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H. Liepmann—Das Krankheitsbild der Apraxie (“motorische Asymbolie”) auf Grund eines Falles von einseitiger Apraxie[Monatsschrift f. Psychiatrie u. Neurologie, 8 : 15-44, 102-132, 182-197, 1900]—第3回
著者: 遠藤正臣1 中村一郎1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.429 - P.442
文献購入ページに移動その後の経過は次のようである。塗擦療法とヨードカリ療法によって明らかな改善が現われ,その改善は患者の左上下肢を利用するように意図された訓練によって促進された。それによって意志や意見の表出の道が開かれ,患者と彼の周囲とのラポールがつくようになった。患者の情緒は今度は釣合がとれている。右手を頻回に無目的に動かす共同運動が止み,同様に頭や眼や口の活発な動作ももはやみられない。今や正常な方法で彼は肯定や否定を表現できるので,表情錯誤はなくなっている。失行症はほんの僅か軽くなったが,本質的にはそのままである。もちろん以前のようなグロテスクな失敗が稀にみられる。一連の日常の動作,例えば帽子や鼻眼鏡をかけたりはずしたりすることを彼は習得した。
選択反応での失敗ははるかに減じた。失敗させるには,課題をやや複雑にせねばならない。
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