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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻4号

1980年04月発行

資料

英国のアルコール症医療

著者: 洲脇寛1

所属機関: 1高知医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.455 - P.459

文献概要

I.はじめに
 筆者は,1978年10月1日から6カ月間,日本学術振興会特定国派遣研究者として,ロンドンの嗜癖研究所(Addiction Research Unit, Institute of Psychiatry, Director:Prof. Griffith Edwards)に留学し,英国のアルコール症医療を見聞する機会に恵まれた。もとより,それらは,ロンドン近郊とマンチェスター,リバプール,リードなど英国内でも最も進んだ地域に限られたものであるが,(英国の精神医療は,まだ大きな地域差がある),現在英国の第一線で活躍している人々が何を志向しているかを目のあたりにすることができ,それらは,わが国と比べ,社会習慣,医療制度など数々の相異があるとはいえ,特に基本的な構想において学ぶところが大であった。わが国における現在のアルコール症医療は,断酒会の活動,最近ようやく各地に設立されてきたアルコール症専門病院,専門病棟,また,国立療養所久里浜病院におけるアルコール症臨床医等の研修会,大阪での酒害相談員講習会,研究分野での日本アルコール医学会の活動などが行なわれているものの,まだまだ社会的,国家的に総合された形の活動,対策は微々たるものといわざるをえない。そこで,本稿において筆者は英国のアルコール症医療の現況を報告し,それらが少しでもわが国のアルコール症対策を進める上で参考になればと念願する次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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