icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻5号

1980年05月発行

文献概要

特集 睡眠研究—最近の進歩

睡眠障害—睡眠過剰,睡眠時無呼吸,不眠などをめぐって

著者: 菱川泰夫1 飯島壽佐美1

所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.477 - P.490

文献購入ページに移動
Ⅰ.睡眠障害の頻度
 今日では,先進工業国の人口の10%近くのものにかなり深刻な睡眠障害がみられ,それに一時的な不眠をしばしば体験する人を加えると,睡眠障害に悩んでいる人は20〜25%あるいはそれ以上にも達すると推定されている7,33,48,52)。わが国には,睡眠障害についての大規模な疫学的調査は見当らないが,一応は健康に社会生活を営んでいる300名の成人について調査したところ,そのうちの約20%になんらかの睡眠障害の訴えがみられたとの報告がある46)。このことからも,わが国においても睡眠障害は非常に多いものと推測される。
 睡眠障害には,不眠だけでなく,睡眠過剰もある。アメリカでは睡眠過剰のために悩んでいる人は10万人に近いと推定されている12,28)。この数値をわが国に当てはめてみると,人口がアメリカの半分として,わが国では約5万人が睡眠過剰に悩んでいることになる。この数値は実際よりも小さい可能性がある。藤沢市の高校生と中学生の全員を対象とした最近のHonda(1979)43)の調査によれば,昼間に著しいねむ気があり,ナルコレプシーが疑われたものは調査対象の0.16%にも達していた。更に,睡眠障害には夜尿,夢中遊行症,夜驚症などとさまざまなタイプのものがある。このように,睡眠障害に悩む人は非常に多く,しかも,その障害は非常に多様なのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?