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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻5号

1980年05月発行

特集 睡眠研究—最近の進歩

睡眠薬研究の最近の動向

著者: 大熊輝雄1

所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.509 - P.516

文献概要

I.はじめに
 Benzodiazepine系薬物が睡眠薬として使用されるようになって以来,睡眠薬の主座はbarbituratesからbenzodiazepinesに移った観があるが,現在もなお,より良い睡眠薬の開発が必要であることはいうまでもない。
 理想的な睡眠薬の充たすべき条件としては,(1)十分な睡眠促進効果をもつこと,(2)できるだけ自然睡眠に近い睡眠を生じ,睡眠にひずみを与えないこと,(3)起床後の日中の精神活動,身体活動に障害を与えないこと,(4)連続使用しても耐性を生じないこと,(5)依存形成性がないこと,(6)毒性が低く過量使用のさいにも安全性が高いこと,(7)なるべく生体内に存在する物質であるかそれに近い物質であることなどが挙げられよう。
 このような条件を充たすすぐれた睡眠薬を開発するためには,これらの諸要因を正確に評価,検討するための方法を確立する必要がある。睡眠薬開発のさいの試験法についてはアメリカFDAの指針(「睡眠薬の臨床試験に関するFDA指針」,「薬剤の臨床試験に関するFDAの一般指針」)があるが,これはおよその方針を示したもので,この方面の諸研究の進歩に伴って補充されていくべきものと考えられる。
 本稿では,最近の睡眠薬研究の動向のうち,(1)新しい睡眠薬の開発,(2)睡眠薬が昼間の精神機能に及ぼす影響の研究,(3)ポリグラフィによる睡眠薬研究法の進歩などについてその概略を述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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