文献詳細
特集 睡眠研究—最近の進歩
文献概要
仏教の経典の中には夢について書かれている例は多いが,夢とは夢みている状態すなわちパーリ語のsupinanta,梵語のsvapnaの意である。夢の中で見た対象は実際には存在しないから,唯識学派では,対象の非存在visaya-abhāvaの譬喩として夢が用いられる。「唯識無境」などと言って,外界の享受は実体的なものであり得ないから,夢にたとえられる。また「夢・幻・空華」などと言って,夢は幻や空華(眼病のために見える幻影の花)などの錯覚とともに,実体性のないもののたとえとして用いられる。また「夢幻泡影の如し」と言って,夢は幻や水泡や影法師のように実体性のない,はかないもののたとえとして用いられている。また「夢定」と言って夢の中で見たものが,精神の安定した禅定中に見たものと似ているので,夢と禅定とは対比的に用いられることもある。
要するに仏教では,夢(パーリ語spina,梵語svapna,チベット語rmi-lam)は睡眠中において心と心のはたらきが,その対境に応じて種々のことを見ることである。
要するに仏教では,夢(パーリ語spina,梵語svapna,チベット語rmi-lam)は睡眠中において心と心のはたらきが,その対境に応じて種々のことを見ることである。
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