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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻6号

1980年06月発行

文献概要

古典紹介

Paul Broca—Perte de la Parole—ramollissement chronique et destruction partielle du lobe antérieur gauche du cerveau〔Bulletins de la Société d'anthropologie, 1re série, 2 : 235-238, 1861.〕

著者: 杉下守弘1

所属機関: 1東京大学医学部脳研究施設神経内科

ページ範囲:P.655 - P.663

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 Broca氏は,この報告の折に,Bicêtre病院の彼の部門で死亡し,話し言葉の使用を21年前から喪失していた51歳の男の脳を提示する。その脳はDupuytren博物館に預けられる前であり,またその観察が解剖学会会報に公表される前であるが,われわれはここで,短い要約の提出だけは行なう。なぜなら,その事実はAuburtin氏が前回の会合で語った事柄の中のあるものに大変類似しているからである。
 その患者が20年前にBicêtre病院に入院した時,彼は話し言葉の使用を喪失していた。彼が話し言葉の使用を喪失したのは入院の少し前からであった。彼はもはやただ一つの音節しか発音することができず,それを通常2回続けて反復した。彼に対してなされた質問が何であろうと,非常に様々な身振りを加えながら,常にtan,tanと答えた。これが,病院中で彼がTanという名でしか知られていなかった理由である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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