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雑誌詳細

文献概要

特集 Brain Function Testへのアプローチ

リハビリテーションの立場から

著者: 重野幸次1

所属機関: 1伊豆韮山温泉病院

ページ範囲:P.695 - P.703

I.はじめに
 失語症・失行症・失認症の検査(以下Brain Function Testとする)は意識障害,知能障害の検査など,一般的精神機能の検査と並んで,従来より神経学的検査の重要な一部分を占めている。
 しかしこれら症候は複雑で,検査方法も標準化されたものがなく多種多様であり,各症状の定義や分類も様々であること,検査にも時間のかかること,正確な評価をするには特殊な道具やテストバッテリーを必要とすること,検査の実施やその解釈には熟練を要すること,などから単に症状の有無程度の簡単なスクリーニング検査はともかくも,より正確な評価はその方面の専門医や神経心理学士,リハビリテーションのスタッフなどに託されることが多い。限られた時間内に在来の種々のBrain Function Testや各症候のすべてを網羅して解説することは困難であるので,以下の諸点に焦点を合わせて概説することにする。
 まずBrain Function Testの用途・目的,テスト施行上の要点について述べる。
 次に,われわれのリハ施設における失語症・失行症・失認症の頻度について報じ,この中から構成障害,着衣障害,半側視空間失認を選び,その検査方法と成績を紹介する。同時にこれら症状の大脳半球優位性,巣症状としての意義について述べる。
 最後にリハビリテーション医学の立場より,日常生活動作の阻害因子としての失語症・失行症・失認症の問題をとりあげる。一般の失行症についても解説する予定であったが,失行症はその内容や解釈が特に複雑で,従来の類型分類にも多々問題があり,短時間では言いつくすことができないので検査結果のみの記述にとどめ,今回は割愛することにした。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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