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研究と報告
40歳以降に初発する幻覚妄想状態—特に性差,発症年齢と予後との関連について
著者: 濱田秀伯1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.749 - P.758
文献購入ページに移動 抄録 40歳以降に初発する非器質性の幻覚妄想状態の頻度は,同年齢の精神障害の9.8%を占め,女性は男性の2.5倍で,60歳以降になると頻度は3.8%と減少し,男女比は拡大する傾向を示した。本症135例(男性36例,女性99例)を対象に,予後の良否に関連する諸因子を男女別,発症年齢別にみると,急性に発症するものは男性に多いが,Schneiderの1級症状を有するものは女性に多く,年齢の上昇に応じて減少し,特に作為影響体験は男性に少なく60歳以降には稀であった。このような予後因子の動きから,性差および発症年齢の本症予後へのかかわり方について一つの解釈が可能であった。また多彩な自我障害は若年患者に多いが消失しやすく,高齢に初発ないし再発した場合は,病像が幻覚,妄想のいずれか一方を主徴とする比較的単純で部分的な形へと変化し,症状は消えにくくなる。これらの結果から,本症が精神分裂病圏に含まれる可能性について若干,考察した。
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