icon fsr

雑誌詳細

文献概要

古典紹介

Friedrich Mauz—Die Veranlagung zu Krampfanfällen〔Georg Thieme Verlag, Leipzig, 1937〕—第1回

著者: 中内雅子1 五味淵隆志1 飯田真1

所属機関: 1東京大学分院精神神経科

ページ範囲:P.769 - P.777

序論
 素質という概念は,てんかん領域では薄幸な役割におしやられていた。疾病の外因と内因,後天性因子と体質的因子を共通の方法で考察することや,個々の疾病現象を最も異なった諸側面から原因的にとらえることは,医学の他の領域では随分前から進んでいたのに,てんかん診断学においては,素質要因は一つの補助手段にまで成り下がってしまった。他の原因が見出されないときに,仕方なくそれを引き合いに出さねばならなかった。しかし,ある何らかの外的損傷が見出されると,素質要因について考えるということはなかった。外因と内因の対比はこのような方法で組立てられていたが,その排他性のため生きた疾病現象に対応させることは不可能であったし,てんかんの現実に近い診断学を困難にせざるを得なかった。
 もしも,症候性てんかんと真性てんかんをこのように峻別するときに,せめて両群が同価値に取扱われていたならば!現実には症候性〔てんかん〕訳注)を思わせるあらゆる示唆は肯定的に評価されたのだが,素質要因は概して除外によって,ただ否定的に確定されるだけであった。いずれにせよ,GruhleもBumkeの精神医学全書への寄稿の中でそう述べている。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?