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特集 思春期の精神医学的諸問題—東京都精神医学総合研究所 第7回シンポジウムから
まえがき
著者: 笠原嘉1
所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.796 - P.796
文献購入ページに移動 この特集におさめられた4篇は,昭和54年12月1日野口記念会館(東京)でおこなわれた第7回東京都精神医学総合研究所シンポジウム「思春期の精神医学的諸問題」での講演に加筆されたものである。当日の講演は,研究所の石井毅,宇野昌人両氏によってえらばれた村瀬,清水,岡部,小倉の4氏がそれぞれに全く異ったアプローチの臨床家であったこともあって,講演内容も多岐にわたり,「思春期」に関する講演会としては聞きごたえのあるものであった。事実,当日は主催者側の予想をはるかに上回る熱心な聴衆をえた。当日光栄にも司会役を仰せつかった者として,講演についての簡単な紹介をおこない,この特集の序言にかえさせていただく。
「正常な」青年はどのようにその青年期を通過していくのか。これを実証的にしらべるには「正常な」青年を継年的に追いかけるしかない。村瀬孝雄氏は今日のところ日本でのおそらく唯一の研究者であろう。これまでの氏の一連の研究のあとを承けて,ここでは3ケースを通じて青年「前期」の変化過程に焦点があわされた。樹木画,人物画の提示は氏の説くところを具体化し,聴衆に感銘を与えた。いうまでもなく「正常」青年についてのこの種の観察は,病理ケースから入るのをつねとする精神病理学的研究にとって,相補的な意味ですこぶる大切である。
「正常な」青年はどのようにその青年期を通過していくのか。これを実証的にしらべるには「正常な」青年を継年的に追いかけるしかない。村瀬孝雄氏は今日のところ日本でのおそらく唯一の研究者であろう。これまでの氏の一連の研究のあとを承けて,ここでは3ケースを通じて青年「前期」の変化過程に焦点があわされた。樹木画,人物画の提示は氏の説くところを具体化し,聴衆に感銘を与えた。いうまでもなく「正常」青年についてのこの種の観察は,病理ケースから入るのをつねとする精神病理学的研究にとって,相補的な意味ですこぶる大切である。
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