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特集 思春期の精神医学的諸問題—東京都精神医学総合研究所 第7回シンポジウムから
青年期神経症の分類について
著者: 清水将之1
所属機関: 1大阪大学医学部精神科
ページ範囲:P.807 - P.815
文献購入ページに移動精神科の青年期患者は,全般に病像を明確に把握して描写することが難しく,したがって,青年期精神医学における診断図式を組み立てることが極めて困難であると言われている5,8,15)。例えば,「DSMの分類は青年期患者には役立たない。仕方なく一応これに従うけれども」というMastersonの嘆きの声17)は,この間の事情をよく物語っている。この問題を巡って,ここ15年来,主にアメリカを中心として多くの論議が交されている1,13,16,17,27,28,34)。その中には,年齢によって診断図式を変更するのは好ましくないという考え12)あり,因子分析により青年期特有の診断図式を求める者28)あり,その他,さまざまな見解7,15,32)が提出されて,なかなか喧しい。このような体系化を図る者もあれば,個別の症状群を抽出しようとする企てもいくつかある11,14,35)。この論議は,そう簡単には解決しそうにないようだ。筆者も,青年期を対象とする精神科臨床を14年間行なってきた中で,青年期の精神科診断図式には恒常的に疑念を抱き続けてきた。その一部についてはすでに語ったことがある24)。今回は,青年期の患者が示す神経症的病態について,若干の考察を加えてみたい。
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