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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻8号

1980年08月発行

特集 思春期の精神医学的諸問題—東京都精神医学総合研究所 第7回シンポジウムから

思春期に発病した精神分裂病の経過と予後

著者: 岡部祥平1

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所臨床心理研究室

ページ範囲:P.817 - P.826

文献概要

I.はじめに
 精神分裂病の予後研究は,これまで数多くみられるが1,2),15歳以前の思春期に発病した分裂病についての報告は,本邦ではほとんどその例がない3)。若年に発病する分裂病は,一般に予後が悪いといわれるが,事実はどうなのであろうか。いうまでもなく発達途上にある思春期は,心身ともに揺れ動く特異な時期であり,この時に分裂病が発病すれば,その個人の心理社会的に及ぼす影響は,はかりしれないものがある。精神病に陥入り混乱を招くこと自体が,心理的プロセス(Häfner)4)として尾を引くであろうし,入院生活や,発病に伴う家庭,学校等彼らを取り巻く世界の変化は,人格形成や成熟の上に障害となる。著者は彼らがこうした中で,思春期をどのように乗り越えたか,あるいは挫折をしていったかなど,個々人の生活史,発病状況,治療,経過,転帰について観察してきた。これにより,思春期*に発病した分裂病の実態とその病理を知り,今後の見立てや治療の上に,何らかの寄与し得ることを目指した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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