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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻8号

1980年08月発行

文献概要

研究と報告

Cotard症候群の1例

著者: 中山宏1 伊勢田堯2

所属機関: 1筑波大学臨床医学系精神医学 2群馬大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.865 - P.869

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 抄録 ほぼ典型的なCotard症候群の1例を報告した。症例は初老期の主婦で,子供の死亡を契機として心気症,離人症,体感異常から不死妄想,否定妄想などへと多彩な精神症状を示し,数回の自殺を図ったものである。本症例はうつ病圏内のものが最も疑われるが,あらゆる治療に対して抵抗性を示し,発病以来約20年間慢性遷延性の経過をたどっている。注目すべき症状として「自分が見たものはそのままでいつまでも変らない」という不変妄想とでもいえるものがみられたことである。又,CTスキャンで大脳基底核に石灰化が認められた。本症についての診断的位置づけ,地域差,時代的変遷,治療に対する抵抗性などについても論及した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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