icon fsr

雑誌詳細

文献概要

短報

急性期に尿中Bence Jones蛋白陽性所見を示した非定型精神病の数例について(予報)

著者: 定塚甫1

所属機関: 1国立豊橋病院精神科

ページ範囲:P.875 - P.879

I.はじめに
 1947年,Henry Bence Jonesにより,「骨髄腫症例の尿中にみられる特異な蛋白であり,50℃〜60℃に熱すると混濁凝固し,温度を沸騰点まであげると再度溶解する」と,記されたBence Jones蛋白については以来幾多の研究がなされた。しかし,その本態は最近まで未解決のままであった。BJ蛋白は,多発性骨髄腫以外の患者(マクログロブリネミア,癌の骨髄転移,ホジキン病)にもまれにみられることは報告されていたが1),1959年,Stevenson, G. T. により正常人の尿中にも微量に排出されることが見出された2)(これをγμという)。γμはBJ蛋白の母蛋白としての不均一性,熱および超遠心に対するこの蛋白の特徴と,免疫グロブリンのⅠ型,Ⅱ型の両方の抗原性を備えている。これによりBJ蛋白体が骨髄腫の特異的な蛋白であるという考えは否定された3)。さらに,1962年,EdelmanによってBJ蛋白体は,免疫グロブリンのL鎖(light chain peptide)の二量体(dimer)が遊離して,単クローン性に排出しているものにほかならないことが明らかにされた4)。そしてその後,WHOの定義により免疫グロブリンに属することとなった。
 今日,急性精神病と免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM)との関連については,多くの関心が集められている5〜7)。しかし精神病者におけるBJ蛋白の出現についての報告は,著者の知る限りではまだみられないようである。
 著者は,今回,尿中BJ蛋白定性検査を,国立豊橋病院精神科を受診した患者に行なって興味ある結果を得たのでここに報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?