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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

二重盲検法によるZotepineとTiotixeneの精神分裂病に対する薬効比較

著者: 岡田正範1 更井啓介2 児玉宣久2 石津宏2 曽根喬2 中原俊夫2 中川一広2 井手下久登2 山崎正数2 瀬良裕邦2 河村隆弘1 浜野浩枝3 石井知行4 増田勝幸5 石川博也6 淺田成也7

所属機関: 1県立広島病院精神科 2広島大学神経精神医学教室 3農協吉田病院精神科 4大竹新生病院 5比治山病院 6西条精神病院 7淺田病院

ページ範囲:P.947 - P.965

 抄録 Zotepine(ZT)の精神分裂病に対する治療効果および安全性を,tiotixene(TT)を対照薬とした二重盲検法により検討した結果,ZTの最終全般改善度は53%,TTのそれは52%で,両群間に有意差はみられなかった。
 OverallらのBPRSによる精神症状の改善率は,運動制止,猜疑心,衒奇症と奇妙な動作ではZT群の方が高く,幻覚体験,身体的懸念,不安,罪責感,緊張,抑うつ気分,非協力性ではTT群の方が高かったが有意差はなかった。この結果から,ZTは賦活,抗異常体験の両面の作用を有することが確認された。
 副作用では,不眠がZT群に,口渇がTT群にそれぞれ有意に少なかった。賦活剤にありがちな副作用としての不眠がZTに少ないことは大きな特徴といえよう。臨床検査成績では問題にすべき変動や異常値はみられなかった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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