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文献詳細

雑誌文献

精神医学22巻9号

1980年09月発行

資料

精神病院に長期入院しているてんかん患者の実態調査

著者: 加藤秀明1 森俊憲1 曽根啓一1 足立総一郎1 森内巌1 吉村剛1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1011 - P.1015

文献概要

 抄録 精神病院に長期入院中のてんかん患者の実態を明らかにするたあ,6つの私的精神病院において調査をした。1979年5月31日の時点で1年以上入院している患者は総入院患者1690名中57名(3.4%)いた。
 この57名について,入院の直接の理由,保険の種類発作回数,知能障害,脳波所見,抗てんかん薬血中濃度,学歴,職業歴,婚姻状況,両親の有無,外泊状況などについて調査した。その結果,1)臨床発作やてんかん病態と直接関連する精神症状は入院を長びかせる要因とはなっていない,2)学歴,職業歴,婚姻状況は外来患者のそれの報告と比較するとかなり劣る,3)長期入院の患者側の要因としては知的障害が最も重要である,4)患者の背景にある生活環境もきわめて悪いことなどが判明した。
 長期入院てんかん患者は狭義てんかんのもつ意味以外の理由で長期入院を余儀なくされている。精神病院はその守備範囲をこえた部分まで負担しており,広義てんかん医療の進歩が望まれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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