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特集 失行
半側身体の回避反応と失認に関係ある一側性失行
著者: 浅川和夫1
所属機関: 1日本大学医学部精神神経科教室
ページ範囲:P.1001 - P.1005
文献購入ページに移動I.はじめに
一側性失行とは一般には身体半側の四肢に出現した肢節運動失行または観念運動失行を言うのであるが,Denny-Brown(1958)3)は四肢に現われた把握反応(grasping reaction)や回避反応(avoiding reaction)をも運動失行とみなして,一側半球の損傷により反対側の上下肢に出現したものを一側性運動失行(unilateral kinetic apraxia)として記載している。前者を磁性失行(magnetic apraxia),後者を反撥失行(repellent apraxia)と名付けている。しかし,これらの報告例は少なく,失行の型としては必ずしも支持されてはいない。Hecaenら11,12)はこの型の失行の存在を認めてはいるが,その位置付けには厳密さに欠ける点があるように思える。最近Laplaneら(1979)14)が5例の回避反応を報告しているが失行としての考察はみられず,この型の運動障害発現の病理的解明を試みている。回避反応の病巣に関してDenny-Brown3,4)は頭頂葉病巣によって発現した前運動領,帯状回,海馬回領域の解放現象であるとしているが,人間においてその検証は十分であるとは言えない。他方,回避反応以外の一側性失行,特に一側性観念運動失行とdisconnection syndromeとの関連は,なお重要である。
著者は身体一側の上肢及び下肢にこの回避反応を呈した4例を一側性失行として既に報告してあるが(精神経誌,1969)1),ここでこの4例を再びとり上げ,上述の問題点を踏まえ,その後報告されている知見を参考にして一側性失行に再検討を加える。
一側性失行とは一般には身体半側の四肢に出現した肢節運動失行または観念運動失行を言うのであるが,Denny-Brown(1958)3)は四肢に現われた把握反応(grasping reaction)や回避反応(avoiding reaction)をも運動失行とみなして,一側半球の損傷により反対側の上下肢に出現したものを一側性運動失行(unilateral kinetic apraxia)として記載している。前者を磁性失行(magnetic apraxia),後者を反撥失行(repellent apraxia)と名付けている。しかし,これらの報告例は少なく,失行の型としては必ずしも支持されてはいない。Hecaenら11,12)はこの型の失行の存在を認めてはいるが,その位置付けには厳密さに欠ける点があるように思える。最近Laplaneら(1979)14)が5例の回避反応を報告しているが失行としての考察はみられず,この型の運動障害発現の病理的解明を試みている。回避反応の病巣に関してDenny-Brown3,4)は頭頂葉病巣によって発現した前運動領,帯状回,海馬回領域の解放現象であるとしているが,人間においてその検証は十分であるとは言えない。他方,回避反応以外の一側性失行,特に一側性観念運動失行とdisconnection syndromeとの関連は,なお重要である。
著者は身体一側の上肢及び下肢にこの回避反応を呈した4例を一側性失行として既に報告してあるが(精神経誌,1969)1),ここでこの4例を再びとり上げ,上述の問題点を踏まえ,その後報告されている知見を参考にして一側性失行に再検討を加える。
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