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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻11号

1981年11月発行

文献概要

特集 Ⅰ.社会精神医学と機能性精神病

病床使用状況からみた地域精神衛生サービス拡大の効果—4年間の実施の評価

著者: Häfnerヘフナー1

所属機関: 1精神衛生中央研究所

ページ範囲:P.1121 - P.1132

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 現在の広範な地域精神衛生サービスは主として外来治療の利用の増加をもたらした。
 患者の全体的流れとして,入院治療への抵抗は弱まっているが,入院率はわずかに増加しているだけである。同時に,長期使用病床は減少しているため,Mannheimでは全体の精神科病床は一定しており,病床率は精神科老人川施設を含め,人口1,000人当たり1.2,Weinheimの地域療養所を含めると1.66となっている。この値は,国際間で比較すると非常に低い。地域精神衛生サービスが整備されたドイツの町Mannheimで,現在,このような低い病床率で対応していけることが,明らかにされた。
 在来の長期入院のかなりな減少に引き続いて,新規の長期入院が増加しており,最良の地域精神衛生サービスでも今のところこれを防ぐことができないでいる。これらの患者は,以前の長期入院に比べ,高齢になって長期入院となっている。新規の長期入院の増加は,今のところ,在来の長期入院の減少よりも低い。長期入院群の診断分布も非常に変化してきている。
 短期や中期入院用の病床の必要性は,種々の原因で増加している。即ち,それはある種の疾患群の罹病率の増加,救急例や重症危機例による利用の増加,長期入院患者を非入院医療施設へ移行させたための,その再発に伴う短期や再入院の需要増大等である。短期や中期入院用の病床需要が,Mannheim,Salford,Samsφ,Camberwellでほぼ同じレベルであった。即ち,短期や中期入院病床率が,人口1,000人当たり0.6から1.0の間にあったのは興味あることである。一方,長期入院(1年以上)病床率はいまだに国により明白な差があった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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