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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻11号

1981年11月発行

文献概要

特集 Ⅱ.アジアにおける精神衛生問題

中華人民共和国の都市・郡部における精神衛生サービス

著者: 沈漁村1

所属機関: 1北京医科大学精神科

ページ範囲:P.1165 - P.1169

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I.はじめに
 社会経済の発展,人口構造の変化,新しい心理社会的因子等の影響に伴って,精神衛生サービス・の組織・形式・内容は,地域社会の要求に沿うよう改善され完備されねばならない。この実情は開発途上国はもちろん,先進工業国でもそうである。この問題の解決方法をさぐるにあたって,世界各地で固有の歴史的背景をもとに種々の試みが行なわれてきている。
 中華人民共和国はその建国以来,臨床精神医学における専門家と専門施設の不足に直面してきた。新しい中国は誕生したが,わが国には100人足らずの精神神経科医しかいなかった。発展の初期段階では,我々の主な努力は精神障害者のために新しく病院や療養所を,主に大都市に設置する方向へむけられた。それは家を持たない者,社会的問題を起こしそうな者,及び医学的治療に対し支払いの可能な者のために準備された。この施設は民間行政機関,公安部,衛生部によって設立された。この種の精神衛生サービスは確かに重要だが社会の要求には沿わない。というのは,退院後再発する患者が多く,限られた精神障害者だけが治療を受けられるからである。そこで1950年代末に,わが国の社会経済的特徴に適した新しい形式の精神衛生サービスを求めて,医師,医療従事者は社会へはいっていった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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