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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻12号

1981年12月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者血清中の抗胸腺細胞抗体について

著者: 渡辺雅幸1 光宗勝繁1 野村総一郎1 中沢恒幸1 塚田裕三2

所属機関: 1名古屋保健衛生大学医学部精神神経科 2慶応義塾大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.1265 - P.1270

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 抄録 精神分裂病患者血清中の抗マウス胸腺細胞抗体価を細胞障害試験により測定したところ,対照に比して有意に高値を示した。分裂病患者を発病5年未満の群と5年以上の群にわけて比較した場合,抗胸腺細胞抗体価はほとんど同一であり,また分裂病患者の細分類(破瓜型,緊張型,妄想型)と抗胸腺細胞抗体価との間にも,関連は認められなかった。一方BPRSのtotal scoreの高い分裂病患者ほど,抗胸腺細胞抗体価の高い傾向が認められた。
 ヒト血清中の抗胸腺細胞抗体はマウス,ラット,ブタの脳と肝臓により完全に吸収されるが,ヒトの脳と肝臓では全く吸収されなかった。この結果,本抗体は従来主張されたThy-1抗原に対する抗体とは考えられず,未知の異種抗原に対して生じたものと考えられた。分裂病で抗胸腺細胞抗体の高値であった理由として,分裂病の情動障害にもとづく2次的な免疫異常によって産生された可能性を論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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