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文献詳細

雑誌文献

精神医学23巻12号

1981年12月発行

文献概要

古典紹介

V. E. v. Gebsattel—離人症問題に寄せて—メランコリー理論への一寄与—第2回

著者: 木村敏1 高橋潔2

所属機関: 1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室 2尾西病院

ページ範囲:P.1293 - P.1304

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人格感喪失(Depersonalisation)の問題について
 空虚症状の状態的側面に目を向けてみよう。
 本来,空虚症状を状態的側面と対象的側面とに分けるのは便宜的なことである。問題は,どのように内側の空虚が外側の空虚に,つまり人格感喪失が現実感喪失に対応しているかではなくて,疎隔感をもっぱら世界にだけ,ときには世界の諸部分にだけ向けて体験する患者もいれば,あるいはそれをもっぱら自分自身にだけ向けて体験する患者もいるというようなことがどうして起こりうるのかということ―この注目すべき事実はとりわけMayer-Grossが指摘している(前記参照)―である。しかしこの問題はここで論じるには大きすぎる―Br. L. が何回も繰り返して,外側の空虚は「内側の空虚が事物に反映したもの(Projektion)」であり,世界との結びつきの無さは,自分自身との結びつきを欠いていることの結果であると訴えていることだけで十分だろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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