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V. E. v. Gebsattel—離人症問題に寄せて—メランコリー理論への一寄与—第2回
著者: 木村敏1 高橋潔2
所属機関: 1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室 2尾西病院
ページ範囲:P.1293 - P.1304
文献購入ページに移動空虚症状の状態的側面に目を向けてみよう。
本来,空虚症状を状態的側面と対象的側面とに分けるのは便宜的なことである。問題は,どのように内側の空虚が外側の空虚に,つまり人格感喪失が現実感喪失に対応しているかではなくて,疎隔感をもっぱら世界にだけ,ときには世界の諸部分にだけ向けて体験する患者もいれば,あるいはそれをもっぱら自分自身にだけ向けて体験する患者もいるというようなことがどうして起こりうるのかということ―この注目すべき事実はとりわけMayer-Grossが指摘している(前記参照)―である。しかしこの問題はここで論じるには大きすぎる―Br. L. が何回も繰り返して,外側の空虚は「内側の空虚が事物に反映したもの(Projektion)」であり,世界との結びつきの無さは,自分自身との結びつきを欠いていることの結果であると訴えていることだけで十分だろう。
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